非上場の選択、ワールドのケース
2005年7月25日に、アパレル大手の株式会社ワールドが、経営陣による自社買収(マネジメント・バイ・アウト=MBO)を発表しました。その後、これが実施され、ワールドは東京、大阪の両証券取引所一部上場を廃止され、2005年11月15日より非公開会社となりました。上場企業が自らの決断で上場廃止の道を選択したのです。
企業が成長して、株式を証券取引所に上場するか否かは大きな選択の一つです。上場の最大のメリットは株式市場からの資金調達ができるようになることです。その他にも、社会的な信用力の向上、企業のイメージ・アップ、従業員の意識の向上というメリットもあります。一方で、デメリットもあります。上場することで株主に対する責任や社会的責任が大きくなります。企業は株主のものですから、その株主が満足できる企業経営が強く求められるようになります。経営陣は株価を上げる努力をたえず第一に考慮しなければなりません。また、株主の中でも機関投資家や投資ファンドは、経営にまで厳しい注文をつけますし、買収されるリスクも伴います。
企業は上場のメリット、デメリットの双方を検討した上で、上場するか否かの決断を下しますが、一旦上場した企業が、経営不振、倒産といった事情を除き、自ら上場廃止を選択したことはほとんどなく、ワールドの決定は驚きを持って受け止められました。ワールドは、今回の決定について「経営環境の変化に柔軟に対応した機動的な経営戦略や施策を短期的な業績の変動に左右されることなく迅速に遂行する体制を整えるとともに、さらに自己責任を明確にした経営体制への転換を図るため」だと説明しています。つまりは、投資ファンドなど、極めて積極的に経営に注文を付ける投資家が増えつつあるため、こういった物言う投資家の意見に左右されずに、経営を行ってゆきたいという、究極の買収防衛策のように見えます。
上場している魅力がないから、非上場になる。これも一つの経営判断かもしれませんが、投資家の立場から見ると、企業の上場は継続するという前提で投資を行っていますから、一旦上場しておいて、株主が煩いし、コストもかかるから、上場廃止するという決断は、今ひとつ納得し難いものがあります。とはいえ、2005年8月にはポッカコーポレーションもMBOを実施し、株式を非公開にすると発表するなど、買収のリスクがかつてないほど強まっている昨今、今後もワールドやポッカに続く企業が出てくる可能性は十分にあるかもしれません。(updated 2005/11/29)
![]()
【本を読もう!】
-
| home | disclaimer | contact |












