預貯金とローン
ファンド
保険
株式
外国為替
経済

林康史のMarket&Market
資料請求

 

投信資料館

 

 

HOME > 林康史のMarket&Market > テクニカル分析・入門 > 長期形成された大規模なパターン

- 相場を読みこなすためのテクニカル分析・入門 - 

G長期形成された大規模なパターンが重要

パターンは支持線と抵抗線で形成され、中段に出現するとされるものと反転の時に出現するとされるものに大別される。トレンド認識という観点からは、反転のパターンが中段保合のパターンよりも重要であるが、中段保合のパターンが天底に出ることもあり、反転のパターンが中段保合に見られることもある。また、パターンは長期にわたって形成された大規模なものが重要であるともいわれる。酒田五法はローソク足が複数組み合わさったパターンを指すが、明確な定義はない。

買いと売りの勢力で生じるトレンド

前回まで、説明の都合上、トレンドの定義をしないでトレンドラインについて記述してきた。パターンの説明の前にトレンドの定義をまとめておく。

テクニカル・アナリストの立場でのトレンドの概念についてはジョン・マーフィーの『先物市場のテクニカル分析』(金融財政事情研究会)等が参考になる。私見は拙著『はじめてのテクニカル分析』(日本経済新聞社)に書いたが、ごく簡単に説明しておく。相場にトレンドが存在するかどうかは神学論争めいたものになる。ここでは存在を是として、それが買いと売りの勢力によって生じているとしておく。  

結論からいうと、トレンドとは、相場変動に引かれた接線群の傾きの総体と考えられる。数学では、ある区間の変化率をとって、その区間を小さくしていくというのが正しい発想であろうが、要するに同じことである。また、最小二乗法(注1)による回帰モデル(注2)という認識もできよう。その際、トレンドラインは存在確率の高い範囲を示していることになる。  

トレンドラインとチャネル・ラインは、ある期間の相場変動に引かれた接線群の傾きを持つ直線のうち1番外側に位置するものを指す。単純にいえば、y=ax+bという接線群の中でbが最大のものと最小のものということである。

注1) 観測値(実際の価格)と推定線(推定されるトレンド。ここではトレンドラインではなく、相場の動きの真中を通るものを指す)との差(残差)の平方和を最小とするように推定式を特定化する方法。

注2) ある変数を別の変数で説明しようというモデルのこと。

多様な「パターン」

トレンドラインはアウトラインを伴っていること、また、大きなトレンドの中に小さなトレンドがあることなどを説明した。つまり、チャート上にはさまざまな線が存在することになる。

それら支持線と抵抗線で種々の「パターン」が形成される。そのパターンは三角形か平行四辺形、あるいは、その変形である。多くの場合は大きなトレンドの中の中段保合(コンティニュエイション・パターン。引き続き同じ方向に動く前に停留しているパターンの意味)であるが、底や天井に形成されることもある(第1図)。つまり、中段保合のパターンは必ずしも途中の保合だとは断言できないということである。

また、他にも種々のパターンがある。たとえば、ダイヤモンドパターン(反転することの多いパターンともいわれる。ローソク足でいう「櫓」に似たパターンである)は逆三角形と三角保合が組み合わさったものと考えられ、基本は図1であると思えばよい。

トレンドが変わって反転するケース(リバーサル・パターン)は以下の通り(第2図)。基本的に天井と底とでは上下が逆のパターンとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

@ ヘッド・アンド・ショルダーズ(三尊)…トリプル・トップの真中が大きいパターン。ヘッドのピークとネックラインとの差の分だけ、ブレイクした地点から価格が飛ぶとされる。

A トリプル・トップ(三山)…ヘッド・アンド・ショルダーズと同様の解釈をする。

B ダブル・トップ(毛抜き天井)…ネックラインを切ると、ピークとネックラインとの差の分だけ価格が下落するという。

C ラウンド・ボトム(鍋底)…ソーサー・ボトムともいい、商品相場によくみられるパターン。最後の部分は水平になることが多く、その形状からフライパンと呼ばれることもある。

D Vトップ(スパイク・トップ)…ボトム・サイドではあまりみられず、トップで起こることが多いパターンであるといわれる。もみ合う期間がなく、事前に予測するのが難しいパターン。

E ライン・ボトム(線形底)…支持線と抵抗線に挟まれた部分が薄いものをいい、トップ・サイドではあまりみられないパターンという。

酒田五法とは何か  

ローソク足が複数組み合わさったものの解釈は一般に酒田五法といわれるが、この言葉が具体的に何を示しているかは定かではない。酒田は江戸時代に庄内米の積出港として知られ、日本罫線の祖として知られる本間宗久の地盤である。すでに、拙著『相場としての外国為替』にも触れたので詳細は省くが、結論からいうと、本間宗久の遺稿は原本もなく、僭称の可能性が高いものと考えられる。

五法の意味だが、しいて探せば、三山(三尊)、三川、三空、三兵(三平)、三法、だといわれる。

三山(三尊)はトリプル・トップ(ヘッド・アンド・ショルダーズ)。三川は三山(三尊)の天地をひっくり返したもの、つまり、逆三山(トリプル・ボトム)や、逆三尊(インバース・ヘッド・アンド・ショルダーズ)という説と、3本のローソク足の真中の線が短いもの(つまり、「川」の字に似る)という説がある。三空はギャップ(空)が3つ出たパターン。三兵(三平)は同色の線が3本続いたもの(真中の線が短くない点が「川」と異なる)。三法はいっそう不明瞭で、買う・売る・休むの3つの方法だという説と、方向性が出た後に騙しであったことを示唆する線が出たパターンの総称であり、だから3番目の方法、すなわち休みをとるのがよろしいとする説がある(清水正紀『新版 罫線に強くなる本』、木村喜由「ローソク足と酒田五法」『はじめてのテクニカル分析』所収等を参照のこと)。

いずれにせよ、五法の選定基準も明確ではないし、三並び、五並びの言葉遊びが優先された結果の代物だと解したほうが無難であろう。

さて、次回からはテクニカル分析の個別技法について解説する。

 

テクニカル分析の最初のページへ次のページへ