預貯金とローン
ファンド
保険
株式
外国為替
経済

林康史のMarket&Market
資料請求

 

投信資料館

 

 

HOME > 林康史のMarket&Market > テクニカル分析・入門 > ローソク足解釈の信頼度

- 相場を読みこなすためのテクニカル分析・入門 -

Dローソク足解釈の信頼度

1日の4本値(寄付き、高値、安値、終値)のなかで終値が重要視されるのは、将来にいちばん近い過去の価格だからであり、先物市場で値洗いに使われるからでもあるが、より重要な視点は終値が「その水準にとどまることを市場参加者から認められた」レートだということである。今回はローソク足の確率からみた信頼度について述べる。

ローソク足のパターン認識  

前回、ローソク足のさまざまなパターンを認識する技法については説明を省略したところ、その理由について質問があったので簡単に説明したい。

たとえば、古典的なテクニカル分析では「被せ」(かぶせ)は売りのサインである。「被せ」とは陽線の翌日に前日の終値よりも、高く寄り付き安く終わったパターンである。陽線の次の陰線が上方から覆い被さっているので「被せ」といい、上昇しようとしてよしたという形跡が読める。ちなみに2本を合成すると「上ひげ」の長い「上影(陽)線」となる。これは弱気の線である(別図)。しかし、被せが出たというので売って、その後に下落する確率は本当に高いのだろうか。話としてはわかるのだが、その確率も知らないで相場に参入するわけにはいくまい。

そこで、「十分な上昇が続いた後の被せ」で売るのだと古いタイプのテクニカル・アナリストは反駁する。「十分な上昇」かどうかが判別しにくいから困っているのであり、これは「バフルが崩壊するほどの長期間を観察すれば、バブルは必ず崩壊する」といった表現に似ている。わからなくはないもののあまり具体的ではない。

主要転換日の検証

著名なアメリカのシステム・トレーダーの著した『ラリー・ウィリアムズの相場で儲ける法』(林則行・林康史訳、日本経済新聞社)の第6章「利益をもたらす値動きのパターン」を参考にして、この問題を考えてみたい。

テクニカル分析ではパターンは有効であるということになっているが、ラリーはコンピュータを使ってパターンが本当に成功をもたらすものかどうかを検証した。結果は「これまで常勝パターンとして知られるいくつかの旧い伝統的な法則を揺るがすものであり、同時に本当に利益をもたらすまったく新しいパターンの存在」が明らかにされた。

その一端を、長い間、重要視されてきた「被せ」に相当する、アメリカでいう「主要転換日(キー・リバーサル・デイ)」を例にして紹介したい。

まず、相場パターンの定義を明確にすることから始めなければならない。被せの例でもわかるように、これらの用語は実に曖昧に定義されており、どのような相場の動きであっても、後講釈で正当化できるようになっている。

この場合の転換日とは、高値は前日の高値よりも高いが、終値は前日の終値より安い日を指す。これが転換を表わしているというのは、相場が新高値をつけた後、値を落として前日の終値よりも安く引けたことが売り圧力の高まりを意味するからである。この解釈は日本の被せの解釈と同一のものである。一般に、主要転換日は顕著な売りのポイントであるとされる。

しかし、過去の記録はそうではないことを示唆した。ラリーは、82年から86年までの5年問における、S&P500、バリューライン・インデックス、米国債、銀、大豆、ポークベリー、スイス・フランについての主要転換日のパフォーマンスを表示している。詳しくは本書をご覧いただきたいが、その表の一部を抜粋しておく(別表)。別表の数値は転換が起こってX日後の価格が転換日より高い割合をパーセンテージで示している。

「被せで売り」の前提条件「十分に長い上昇トレンドの後」を反映するため、主要転換日の高値がその前日ばかりでなく、直近8取引日のなかでの最高値であることを条件(ラリーは8日のほかにも4日、16日間で検証している)に加えてある。この条件によって、この問、相場が実際に買い圧力が強かったとみなすことができる。したがって、下降相場が期待できるのである。

さて、数値をみると、商品によってバラつきがあることがわかる(ちなみに、この期間の株式は強い上昇期にあった)。あらゆる相場で有効でないとするならば、それらの解釈は普遍性がないということだ。結論からいうと、売りだとされる「主要転換日」も信じるに足るものではないということになる。

ラリーはさらに条件をつけ加えて検証するが、整合的に将来を予測してはいないという結果を得る。これらの統計結果に興味のある方は、前掲書をみていただきたい。「ギャップは埋められるのか」「包み足」「はらみ足」に関しても考察が加えられている。

「価格変動パターンを利用するに際して最も重要なことは、今日の相場がこれらのパターンの1つに当てはまる動きをしたので、次の日もパターン通りに動くだろうという確信にとらわれすぎないようにすることである」とラリーはいう。筆者の場合は、単純に「被せ」が出たからといって売ることはしない。他のテクニカル分析でも同じ結果かどうかを確認する。むしろ、その他のテクニカル分析の結果を重視し、「被せ」は補助材料として扱うといったほうが実際に近いだろう。

それは確率的に、単純な「被せ」で売っていたのでは儲からないという理由ばかりではない。私事で恐縮だが、外国為替ディーラー出身としては、外国為替相場においてせローソク足が正しいという確信がもてないからだ。

テクニカル分析の観点からみた外国為替相場の特殊性の話になるのだが、それについては次回に取り上げる。

 

テクニカル分析の最初のページへ次のページへ