預貯金とローン
ファンド
保険
株式
外国為替
経済

林康史のMarket&Market
資料請求

 

投信資料館

 

 

HOME > 林康史のMarket&Market > テクニカル分析・入門 >よりよいテクニカル分析を行うために

- 相場を読みこなすためのテクニカル分析・入門 -

Mよりよいテクニカル分析を行うために

コーナーを終わるに際して、今回は、テクニカル分析を行う上での諸注意、テクニカ ル・アナリストとしてなすべき事柄をまとめておきたい。また、情報機器の選定についても付言する。

テクニカル分析上の諸注意

○テクニカル分析技法に習熟する  

いまさら述べることでもないほど当然のことのように思われるかもしれないが、テクニカル分析を理解していない自称テクニカル・アナリストは意外に多い。よいテクニカル・アナリストに教えてもらうことが一番手っ取り早い(最近は、セミナーが開催されることも多くなったが、私自身がそうであったように、押しかけ弟子もよい方法だと思う。もちろん、ただ漫然と教えてほしいというだけでは相手にされないだろうが)が、よい本を読むことも効果的である。くだらないテキストを紐解いてみても上達は覚束ない。よい本かどうかは、批判的に読書すれば自ずとわかると思う。

また、新たなテクニカル分析技法を教わったなら、理論的に理解しようとすることだ。バラバラに分解し、各要素ごとに考察してみる。理解を深めるためには既知の技法と比較すること、また、批判的に接してみることも重要だろう。

要するに、テクニカル分析をちゃんと学ぶことである。

最近は、テクニカル分析のソフトなども充実してきたが、だからといって、それらの結果を鵜呑みにするのはいただけない。実際に、プログラムにミスがあるものも存在している。情報機器やソフトを選定するためにも十分な知識を備えていなくてはいけないのである。

○相場の特徴を把握する  

テクニカル分析技法の特徴ばかりでなく、商品ごとの相場の特徴を把握しておくことも必要である。

○観察する  

相場は観察が基本と心得ておかねばならない。思いつきだけでは科学的とは言えない。W・D・ギャンの著作を見ても、これでもかというほど相場の観察に注力して いたことがわかる。

○自分で考える  

生半可な知識は邪魔ですらある。ちゃんと学ぶには、自分で考えるということも不可欠であるが、自分で考えるというのは、自分勝手に思量するということとは全く別のものである。

○総合的に判断する  

例えば、オシレーター系の技法ばかりを見るといったように、ある特定のテクニ カル分析技法に偏ることなく、総合的に判断をすることも必要だである。その際に、相場の方向性(トレンド)を念頭に置くこともポイントである。

○システムを組み合わせる  

総合的な判断が恣意的にすぎるというのであれば、さまざまなテクニカル分析に習熟し、それらを組み合わせることでシステムを構築するという方法をとらねばならない。例えば、ワイルダーは、ディレクショナル・ムーブメントとパラボリックを組み合わせたり(詳細の説明は拙著『はじめてのテクニカル分析』を参照願う)が必要だと述べている。

○勝ち馬に乗る  

相場のそのときの局面に合わせて、どのテクニカル分析を用いるべきかを考える ことも大切である。そのためには、テクニカル技法に習熟し、相場の特徴を理解しておかねばならない。

○システムを最適化し、修正する  

既存の手法やシステムを最適化したり、修正したりすることもテクニカル・アナリストの仕事である。新しいテクニカル分析技法の開発こそがテクニカル・アナリス トの仕事と考えている向きも多いようだが、勉強不足のせいで荒唐無稽なシスうムを作ってしまうという例は意外に多い。それよりも、既存のシステムの最適化や変更が自在にできることのほうが大切だと考える。

一般的に言えば、作曲家を目指す前に、よい演奏家たるべきだということだ。テクニカル分析を使う目的は、創造的な仕事をすることではなく、相場で儲けるためである。

システムの最適化と修正には、バンド(フィルター)の変更(例えば、70%より 高水準だと買われすぎだと判断する技法があるとして、大局的な下落局面では、60%より高水準だと買われすぎている可能性が高いと判断するような変更)、分析期間の変更(例えば、13日移動平均を21日平均に変えてみることなど)、係数の変更(計算式のなかの係数などの変更)、フォーミュラ(計算式)の変更(式そのものの変更) などの方法がある。

ついでながら、システムを完成する手順は、@アイデア、Aモデル化、 B検証、Cモデルの修正、である。つまり、考えついたシステムを具体的な式に組み、実際の相場でテストしてみて不具合を修正していくということだ。テクニ カル分析によるシステム運用は、これを日常的に繰り返すということになる。既存の技法を使う場合は、@Aの過程はないのだが、世の中に出回っているシステムも完成しているわけではないから、BCは個々のテクニカル・アナリストの仕事となる。

○予測期間を限定する  

自分が行おうとしている予測の時間枠を忘れてはならない。例えば、1週間の予測をしているのか、1ヶ月の予測をしているのかを認識していることだ。

○実践する  

テクニカル・了ナリストは実践派でなくてはならない。後講釈では意味がない。

○運用ルールを併用する  

それぞれのテクニカル分析技法の弱点から身を守るには運用ルールを習得しておくことも必要だろう。例えば、ギャンは荒唐無稽とも思える予測技法も開発していたが、相場で残るために、ストップロス・オーダー(逆指値注文)を機械的に置くなどの運用ルールを併用していた。ワイルダーも、ラリー・ウィリアムズも、異口同音に マネー・マネジメント(資金管理)の重要性を説いている。

最後に  

コーナーの冒頭で述べたように、よいファンダメンタリストになるのは困難としても 、よいテクニカル・アナリストになることはそれほど困難ではない。一所懸命に勉強すれば、1年ほどもあれば、有数のテクニカル・アナリストになることも可能だと思う。

よいテクニカル・アナリストになるように心掛けていくことが必要である。そう思っていない人が、よいテクニカル・アナリストになることはない。

文献について  

人の著作について書くのもはばかられることから、自分が関係している著作についてだけ紹介しておこう。読む順番も重要である。

拙著『円・ドル相場の変動を読む』(東洋経済新報社)の第3章テクニカル分析への招待はテクニカル分析のフィロソフィーを述べたもの。拙著『相場としての外国為替』(同)第6章テクニカル分析・便覧は、主要な技法をハンドブックとしたもの。

拙編著『はじめてのテクニカル分析』(日本経済新聞社)は、簡単に書いたつも りではあるが、全くの初心者は前掲書の読後のほうがわかりやすいだろう。拙共訳『ラリー・ウィリアムズの相場で儲ける法』(同)も初級者には難しいかもしれないが、示唆に富む本である。

別途、運用ルールに関しては拙編著『ギャンの相場理論』(日本経済新聞社)の第3部が参考になろう。第1部・第2部はギャンの予測技法にあてられている(テクニカル分析としては、中級あるいは特殊な部類に属する)が、第3部はアンチ・テクニカル分析の立場の人も含めて広く相場関係者に読んでいただきたい。

テクニカル分析を広く知りたいという向きには、「国際金融」(外国為替貿易研究会)1989年4月〜1991年12月の私が連載した「概説 外国為替のテクニカル分析」を読んでいだければ幸甚である。

 

テクニカル分析の最初のページへ