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- 相場を読みこなすためのテクニカル分析・入門 - 

J移動平均線の欠点

前回までで移動平均の見方と解釈について述べた。今回は、移動平均についての批判を述べておく。もちろん、批判自体が目的なのではなく、批判的に検討することで テクニカル分析への理解を深めることが目的である。そうした接し方こそ相場参加者 に必要とされる態度だろう。

実証分析による移動平均批判

まず、著名なトレーダー・運用システム設計者であるラリー・ウィリアムズによる批判を紹介したい。

ご多分に漏れず、ラリーも最初に出会ったテクニカル分析は移動平均だったという。1969年に発表した「ウィリアムズ・レポート」の中で、ラリーは、実際の価格が移動平均をクロスすることのみが重要なのではなく、移動平均の両側に設けたゾー ンが重要だと述べている。つまり、株価の終値が移動平均よりも1%高い場合、移動平均値よりもわずかに上回って引けた時よりも買い時なのか、また2%近くまで上昇した場合にはさらに強力な買いシグナルなのか、ということを研究し、移動平均の両側に緩衝帯を設け、単純な移動平均システムに改良を加えた。シカゴ大学の研究でも、移動平均の周囲にうまく価格がブレイクする緩衝ゾーンを設けたところで利益は生まれないことはすでに証明されていたが、ラリーは挑戦し、しかし、最終的な検証の結果は損失と出た。このプログラムを使う価値はないとわかったのだった。

ラリーは、2つの移動平均のクロスについても研究するが、こちらも、結局2つの移動平均を併用するアプローチもトレンドの将来予測では機能しないということがわかった。

ラリーが膨大なデータ処理の挙句、辿り着いた結論は、移動平均のシステムでは「将来に当てはめた場合、確実だったのは手数料ぐらいのものだ」ということだった。「ある分析結果はそのまま将来に適用して機能するわけではない」のだ。過去に優良な結果をもたらしたパラメータを将来に適用するという最適化というプロセスでは、儲けることはできないというのがラリーの結論である。

「過去のデータを用いて検証し、それ以降の未知のデータを用いて将来どうなるかを検証してみることだ。もし、過去においてと同様に将来でも機能するなら、そのアプローチは大きな意味があろう。しかし、それが単に過去においてのみ有効だったとするならば、私はラスベガスでルーレットにでも賭けていた方が手数料を取られないだけましだと思う」とラリーは言う(『ラリー・ウィリアムズの相場で儲ける法』)。

理論的立場からの移動平均批判

さて、私は理論としての移動平均の欠点を指摘したい。仮に別図のような相場があったとする。日々線と4日移動平均線2本のクロスによる売買は悪くないが、11日移動平均線と20日移動平均線のクロスでの売買は最悪である。最高値で買って最安値で売るということになり、行きつく先は破産か馘首であろう。つまり、2本の移動平均線のクロスでの売買は期間が大事だということだ。

更に言えば、すでにお気づきのように、11日移動平均線と20日移動平均線のクロスでの売買が最悪ということは、売買シグナルを逆転させて使えば最高のパフォーマンスということになる。そう、ゴールデン・クロス(買いシグナル)で売って、デッド ・クロス(売りシグナル)で買うのである。

グランビルらの紹介したテクニカル分析は間違ったものではないにしろ、理論としては中途半端なものだったと言える。理論的には、「主サイクルと半サイクルを期間にとった2本の移動平均線のゴールデン・クロスで売り、デッド・クロスで買い」が正解だということになる。

エリオット波動・三本抜新値足等について

相場を専らとする人で「エリオット波動」という単語を聞いたことのない人はいまい。特に、テクニカル分析に興味がある人にとって、「5波の上昇・3波の下落」というエリオット波動は必ず通る通過儀礼のようなものですらある。この仮説は30年代にR・N・エリオットが唱えた循環論の一種といえるが、職人芸的な技法であり、必ずしも初心者には向いていないので、ここでは省略する。

ポイント・アンド・フィギュアや三本抜新値足などについても記述すべきであろうが、入門書にも多く取り上げられており、それに加える解説もあまりないことから、ここでは割愛する。いずれかといえば、ポイント・アンド・フィギュアよりも三本抜新値足の利用をお勧めしたい。三本抜新値足には相場の変動の大きさに合わせてシグナルの出方が変わってくるという特徴があるからだ。

擬似オシレーター系テクニカル分析

オシレーター系テクニカル分析について述べる前に、擬似オシレーター系テクニカ ル分析の技法を紹介したい。

サイコロジカルラインと呼ばれる技法である。12日のうち、前日の終値対比で上昇が何日あったかを数えるという、非常に単純な方法である。例えば、12日のうち上昇が8日だったとすると12分の8で66.6%という計算をする。何勝何敗だと表現する人もいる。

しかし、相場の場合、相撲ではないのですから、何勝何敗はナンセンスであろう。 11日間、毎日10銭上昇し、最後の1日に2円下落したとすると、この12日間で 90銭下落したことになる。11勝1敗というのは意味がないことは明らかである。つまり、値幅を考察しないといけないということだ。

それを考えたが、ワイルダーが考案したRSI(Relative Strength Index 相対力指数)である。

RSとは、本来は「他との比較」を意味する。たとえば、アメリカのダウ平均株価とイギリスのFTを比較したりすることだ。しかし、ワイルダーのいうRSは以下で定義される。

RS=一定期間内の前日終値からの上昇幅の合計/一定期間内の前日終値からの下落幅の合計

これをインデックス化したものがRSI( =100-100/(RS+1))である。