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相場のこころ(1)

 

『相場のこころ』という切り口で、相場をテーマにお話をしようと思います。これは私の翻訳本のタイトルでもあるのですが、ココロという単語について、文字通り「心」という意味ともう一つカンドコロという意味を持たせたつもりです。すなわち、『相場のこころ』で私がお話ししたいことは、相場の心理的な側面と、もう一つ、相場をしていく上でのコツとかカンドコロという問題です。

相場と心理についてですが、これには2面あります。一つはマーケットが大衆の心理からどういう影響を受けるかという問題で、まずそれを取り上げます。もう一つは、相場に参加する人が受けるプレッシャー、まさしく自分の心の問題です。

それから、相場を見ていく、あるいは、実際に相場に参加していく際のカンドコロというものを取り上げたいと思っています。

まず、相場に対する心構えです。これについてはイタリアのパレートという社会学者、経済学者が『心理と社会』という本を書いており、その中で興味深いことを述べています。人間には二つのタイプがあるというのです。一つはスペキュラトール、そしてもう一つはランティエです。スペキュラトールとは、英語で言う、スペキュレーターです。日本語に訳すと投機家です。日本語で投機家というとあまりいい意味にとられません。しかし、パレートによるとスペキュラトールというのは非常にいい意味が与えられています。思索家、物事をじっくり真剣に考える人という、非常に積極的でいい意味で使われています。たとえば、何か新しい組み合わせを考えていく、シナリオを考えていくということに夢中になる人、そういうタイプをスペキュラトールと呼んでいるわけです。どうしたら次の手が打てるか、または改革できるかということを常に考えてそれを義務としてではなく、楽しんで夢中になってやっているというのが思索家であり、投機家ということなのです。一方、対峙するランティエという単語があります。これはちょっと語弊があるのですが、年金生活者という意味で、要するにパレートが使っている意味では、人から何かをいただくということだけの、型にはまって創造的な仕事をしないというふうに自分を決めているようなタイプです。以上のように人間は二つのタイプに分かれるということです。

私は相場に参加しようとする人、あるいは参加している人、予測をしている人はすべからくスペキュラトールであると考えています。そのためには何が必要であるか、それについて今後、述べてみたい考えています。

パレートについてはもう一つおもしろい法則が知られています。いわゆるパレートの法則ですが、20%・80%の法則と呼ばれることもあります。たとえば会社の80%の利益を上げているのはその会社の全体のセールスマンの20%だというようなことです。ある事柄を調べたいときに、そのテーマの本が10冊あるとして、そのうちのいいものを2冊読めばその問題の80%は理解できる、ということです。これは実は相場のカンドコロの一つでもあります。たとえばマーケットを動かす材料が100あるとします。しかし、必ずそれら100を見ていないといけないかというと、その必要はないのです。その20%をいかに予測するかということが大事だということです。

パレートの法則の具体的な含意は大事なことを先にするということなのです。同じようなことを安岡正篤も言っています。「長期的」「多面的」「枝葉末節にこだわらない」ということです。

 

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