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4月24日 ジム・ロジャーズ氏のセミナー 名古屋で開催!!

すでにご存知の方もおられると思いますが、来る4月24日(月)に株式会社ジェイ・エヌ・エス(JNS)が、名古屋で、ジム・ロジャーズ氏の講演会を開催することになりました。
ジム・ロジャーズ氏の講演に先立ち、私(林)も、「ジムの投資術」を講演します。乞う、ご期待!!!

BRICsについて 〜 ジム・ロジャーズのスタンス、私の見方

立正大学経済学部教授
林 康史

最近、講演会での質問に、BRICsについてのものが多い。ジム・ロジャーズが、中国はよく、ブラジルはまぁまぁいいと言っていて、しかし、インドはまだ買う気はない、ロシアはまったく投資する気がない、と言っていることもあって、私の意見を求められることが多いのである。

今回は、最近のジム・ロジャーズの見方を紹介し、ご参考までに私の考えも書きたいと思う(ジムの考えの詳細をお知りになりたい方は、4月の講演会の際に、質疑応答の時間を設ける予定ですので、そのときに聞かれることをお勧めします)。

中国がダントツ

これは、ジム自身が知らないことでもあったが、ジムの『商品の時代』には、BRICsがそれぞれ何回、登場するか、ご存知だろうか。
2月に、ジムに会ったときに、知っているか、聞いてみたところ、当然ながら、知らなかった。

 中国という単語は341回登場する。ブラジルが92回、インドが61回、ロシアが55回。もちろん、これは商品市場との関連における話ではあって、直接に投資の対象としての記述に出てくる回数ではない。しかし、まったく無関係でもないし、何より、ジムの興味の度合いが感じられて面白いと思う。
商品との関連で言えば、ロシアはもっと登場頻度が高そうだが、そうなってはいないのも興味深い。

結論的に言えば、中国、ブラジル、インド、ロシアの順で興味があるということだろう。

一言で、ひっくるめてBRICsといっても、当然ながら、その内容はまったく異なっている。そもそも、エマージングだというのが共通する程度である。

わかりやすく言えば、BRICsは、2つに分けられる。中国・インドのグループと、ブラジル・ロシアのグループである。すでにお気づきだろうが、エマージングだといっても、人口が多くて、消費が見込める国と、資源国としての妙味があるかもしれない国である。
つまり、『商品の時代』には、意外なほどに、ブラジル・ロシアへの言及が少ないということであり、それは、とりもなおさず、ジムの興味対象は、それぞれのグループの一番手にしかないということなのだ。

中国とブラジルについては、ジム自身の発言も多いし、4月の講演会でも話題として取り上げられるだろうから、ここでは、とくにインドについて簡単に書いておきたい。
先にも書いたが、最近、講演会での質問に、BRICsについてのもの、なかんずく、インドに関するものが多い。

以下は、私(林)の意見である。

インドは、どこの世界の経済大国なのか

インドは、ジムが指摘しているように、カースト等の問題が残ったままだ。もちろん、憲法上では1950年から禁止されていて、だから、カーストはインドには存在しないと書いてある本もあるが、私には、あまりに現実を知らないか(何度、現地を訪れようとも、わからない人はいるものだ。目の前の現実を見ていても、認識できないのである)、他意がある記述だと考えられる。

10年少し前でしたか、私の友人がムンバイ(ボンベイ)の駐在員をしていたとき、市役所の職員が50万人いると言っていた気置くがある。机を拭く係りは、机を拭くこと意外はしないのである。いや、してはいけないのである。トイレ掃除は別の係りだ。仕事は細々と分かれていて、他の仕事をしてはいけないので、それはそれはあきれる、非効率極まりない、と友人が言っていたのを思いだす。いくら人口が多くても、個人の生産性とか効率が、余りにも悪い。

実は、カースト制度は、ジョブ・シェアリングのためのシステムなのである。そう、インドの場合は、人口の多さが弱点なのだ。

最近、IT関連で、俄然、注目を集めたインドであるが、それは、ファミリーがカーストから脱出するチャンスであることも意味する。
カーストは、職業に基盤がある。その壁は「分厚い」という次元ではなく、打破は不可能なレベルだ。だから、昔から、優秀で、しかし下層のインド人は海外に進出したのである。世界中に、インド人は移住している。カーストの呪縛から逃れるには、海外という新天地に夢を託すしかなかったのである。

IT産業は、インドの下層の人々にとっては、一条の光明なのである。カーストは、職業と不可分であり、IT産業は、歴史上これまで存在しなかった、新しい職業が誕生したのである。下層の人々は、親戚中の中で一番、利口そうな子供を選んで、何とかして、いや、なんとしてでも、工科大学に送り込み(その分、他の兄弟、従兄弟、またいとこ、等々は、満足な教育が受けられないことは言うまでもない)、その子がIT産業に職を見つけ、親戚一族を引っぱりあげること――これが、現代のインディアン・ドリームなのだ。

3月14日、15日に、朝日新聞には、インドの特集が掲載されていた。そこでかかれていることは現実ではないとは言わないが、1つの現実でしかない。たとえば、インフラが整備されていないのを欠点として、インドに進出しない日本企業はアホだとある。韓国企業は出て行っているぞ、と。

はたしてそうか。

ジムは、インド株式への投資はネガティブで、その理由の1つはインフラ等の整備の遅れをあげている。中国が発展しているのは、サード・パーティー・ロジスティクス(TPL。品質向上とコスト節減の両方を前提として、荷主企業から物流を一括して受託することをいう)等の導入に努め、この弱点を克服しつつあるからだ。

先の、朝日の記事に対して、五木寛之が日刊ゲンダイで興味深い指摘をしていた。

「きょうの朝日新聞の朝刊にインドに関する記事が大きくのっていた。それを読んで、へぇー、と驚き、かつ、首をかしげる気持ちがあった。人口十一億のインドが、経済大国として国際社会に堂々と登場しつつある現状が要領よくまとめてある。

なるほど、インドは世界の大国であるわい、と、うなずきつつ、で、こればどこの世界のインドの話だろう? と、一瞬、戸惑う感じがあったのだ。

自分がこの二週間、つぶさに眺め、体験してきたあのインドは、本当にこういう経済大国なのだろうか、と。 電気もない、水道もない、みんな裸足で、廃屋のような家が並ぶ農村の集落は、あれは幻だったのだろうか。 あのマハトマ・ガンジー橋の洗濯板のような悪路は現実だったのだろうか。約一億人ちかいといわれる不可触民の存在も、伝説なのだろうか」

これ以上の引用は控えるが、私には、しごく当然の考え方に思える。中国には、すでに日本の人口の半分程度の人たちが、日本人と同じ生活水準を保っているのである。ジムの投資の基準は、経済・政治の方向性だけではない。その水準もポイントなのである。

インドは、隣国との紛争問題等のリスクも完全に消えたとは考えられない。

人口が多いだけで発展するなら、アフリカや南米は、大いに期待できる。いや、すでに準大国だらけのはずだろう。

同じ理由で、資源が豊かなだけでも、準大国にはなれない。

 ロシアについて、ジムは、マフィアと取引したいと思うなら、行ってもいい、と述べている。

先日、ある人が、「先生! モンゴルはどう?」という。私は、「首都は? 政権党はどこ? 人口は? GDPは? なぜ投資しようと思う?」と矢継ぎ早に聞いた。多くの質問には答えがない。私は「日本のことはよくご存知ですよね。それで、日本での株式投資はうまくいっていますか? 投資は、そんなに甘くないのですよ。ギャンブル以下ですよ」と言ったが、本心だ。投資するとしても、ギャンブル程度にとどめておくべきだろう。

以上