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税制改正

毎年この時期になると減税やら増税やらの話題がニュースを賑わします。今年も政府税制調査会、自民党税制調査会、経済諮問会議、野党、経済界からたばこの増税、発泡酒はどうする、消費税も引き上げだと、いろんな意見が聞こえてきています。しかし、国民にとってはどうもわかりずらい状況になっていることも事実です。特に、今年は毎年実施される「税制改正」と小泉政権による「税制改革」が同時に議論されていることもあり、一層わかりにくい状況です。

税制の改正には大きく二つあります。一つは年度改正。これは毎年の予算に合わせて税制を改正するものです。通常、この年度改正を「税制改正」と呼びますが、これは毎年8月末に各省庁から主税局に対して要望が提出されるところからスタートします。その後、各省庁との折衝や政府税制調査会における審議や答申を経て、年末に税制改正がとりまとめられます。その後、これを法案にして年明けの国会に提出し、審議・可決されれば晴れて法律として成立します。ところが、実際には、各省庁との折衝や政府税制調査会の審議に大きく影響を与えるのが自民党税制調査会です。各業界や省庁から集められた要望を取捨選択するのは自民党税調であると言われています。この取捨選択の結果の集大成が毎年12月中旬に自民税調が発表する「税制改革大綱」であり、国会に提出される税制改正案は、この税制改革大綱に基づいたものになります。本来であれば、連立政権の一党に過ぎない自民党の税制調査会がそれほど大きな権限を持つというのはおかしな話ですが、戦後の自民党一党支配時代の慣行からか、現実的には予算・税制改正に大きな力を発揮しています。

もう一つの税制の改正は、より抜本的かつ長期的視野に立ったもので、こちらは「税制改革」と呼ばれます。今のケースでは、6月に閣議決定された小泉政権による「基本方針」に基づいた改革がこれにあたります。この基本方針では、持続的な経済成長を実現するために、所得税・住民税・法人に対する課税の負担構造を検討する、法人に対する課税については、実行税率の引き下げと課税ベースの拡大を検討する、あるいは地方の自立と活力のために、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を検討する、税制改革の財源は、原則として国債に依存しない等々が含まれています。これらを2003年度に着手し、2006年度に完了、2010年代初頭に財政収支の黒字化を目指すというものが今回の税制改革です。この基本方針をまとめたのが経済財政諮問会議です。この経済財政諮問会議と同じ首相の諮問機関である政府税制調査会も、より中長期的な税制改正の方向性等を検討する機関です。同調査会は、平成15年度における税制改革についての答申−あるべき税制の構築に向けて−を11月に発表しています。

小泉首相の目指す税制改革を基本として、その実現を目指す流れの中で、来年度の予算・税制改正が内閣主導で決定されるというのが、あるべき姿なのでしょうが、実際には今年は過去の経緯から力を持つ自民税調と、税制改革を議論する首相の二つの諮問機関といった三者が来年度の税制改正および税制改革をそれぞれ独自に検討し、それが脈絡なくマスコミを通じて伝えられているのが現状です。各機関の力関係に微妙な変化が起こりつつあると言われていますが、来年度予算・税制改正に時間的猶予がないことから、結果的にどういう形に落ち着くのか注目されています。