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新紙幣発行と経済効果

今月初めに政府は、紙幣のデザインを変更すると発表しました。景気低迷が続く中、日本銀行券の改刷は経済効果を期待してのものであるという見方がありますが、実際には新紙幣発行による経済効果はそれほど期待できないのではないでしょうか。

そもそも紙幣は偽造抵抗力の強化という目的から、約20年サイクルで改刷されてきました。現在使われている紙幣は昭和59年に発行が開始されたものですから、既に18年が経過しています。しかも、偽造紙幣が増加していることも事実です。警視庁の発表によると、偽造券の発見枚数は平成10年には807枚にすぎなかったのが今年は6月末までの時点で既に9825枚に達しています。このため、今回の改刷では、「すき入れ」、「凹版」、「マイクロ文字」等の偽造防止技術を継続して利用することに加え、二千円券で採用した「パールインキ」、「潜像模様」を採用するほか、「ホログラム」、「すき入れバーパターン」等最新の偽造防止技術が利用されることになっています。

経済効果という点では、確かに金融機関等に設置されているATM、各種自動販売機、その他の金銭取扱機器については大きな需要が期待されますが、これが景気回復の牽引役という期待は持てそうにありません。竹中経済竹中平蔵経済財政担当相は「(2000年の)2000円札発行時には新しい機械受注などが1兆円あったという数字もあるようだ」と言及しましたが、塩川財務大臣、平沼赳夫経済産業相、福田官房長官の発言では、「気分的に明るい気分が起こります」「ムードとして影響がある」「気分一新という感じはある」と一様に曖昧なものです。月例経済報告等に関する関係閣僚会議配布資料(平成14年8月8日発表)には、民間の経済研究所の試算が掲載されていましたが、この試算によると、直接の経済効果は4500億円程度、波及効果を含めた経済効果は9600億円程度で、GDPを0.1%押し上げる効果があるということです。1998年に開催された長野オリンピックの経済効果が2兆3000億円、今年6月のワールドカップの国内の経済波及効果は、全体で3兆3000億円と言われていますが、このような世界的イベントの数兆円の経済効果を持ってしても日本の景気低迷は続いています。たとえ実際に9600億円の波及効果があったところで、新紙幣の発行が日本経済の救世主にはなるとは期待できません。